1月25日夜のABEMA Primeにおいて、「銀行業界のアップデートを考える」というテーマの討論があり、リモートで出演しました。その際に発言した内容が、ABEMA TIMESの記事になっていました。
硬貨取引や通帳発行にかかる“手数料”が話題…電子決済を促す銀行業界が見据える「BaaS」とは? (ABEMA TIMES、2022/01/27 10:11)
ここで話した銀行の手数料戦略については、普段から話していることですが、あんまりこういうことを率直に言う人は多くないのかもしれませんね。
硬貨の取引や紙の通帳の話は、ゆうちょ銀行や三菱UFJ銀行だけではない。実は多くの銀行で硬貨の取り扱いは有料化されているし、通帳も銀行によって違うが、紙の発行には一定の費用がかかるといったルールが導入されている。皆さんは通帳は発行されるのが当然だと思っているかもしれないが、紙の通帳を発行しているのは日本の銀行ぐらいで、ドイツでちょっと例があるぐらいだ。だから海外の人から見ると、日本の銀行はなんて便利なんだろうということになるらしい。
その上で硬貨の交換や通帳の発行はなぜ有料化されるかということだが、それはかなりのコストがかかっていたからだ。通帳に関していえば特別な紙を使っているし、1冊あたり1000円くらいかかっているのではないか。また、ATMも専用のものを作らないといけない。しかも年間で200円の印紙税を払っていたりする。
これは金融が自由化される前の1980年代ぐらいまで、銀行は規制の下で利ざやが確保されていたので、規模を大きくすれば儲かったからだ。そのためには預金を集めなくてはいけない。したがって預金をくださる方々は“神様”なので、最大限のサービスをしようという発想になっていた。
ところが今や規模を大きくしたからといって、自動的に儲かる時代ではなくなった。加えてスマホの普及とキャッシュレスの拡大という環境の変化もある。銀行としても、電子決済中心のお客様は安上がりなので、どんどん使っていただきたい。一方、紙幣や硬貨、紙・ハンコなど、伝統的でコストのかかるものを愛用するお客様もいる。両者の間でコストの差がはっきり出てきてしまったので、なるべく電子決済の方向に誘導していきたい。これが有償化の背景にあるということだ。
ところで、リモートの画面の背景は映画「Matrix」風に文字が流れ落ちる動画になっているのですが、この写真だけだと目立たないですね。この点は、もう少し工夫が必要かと思いました。