ブログ

Blog

ハンコ廃止はハンコ文化の否定ではない

こんなニュースが流れていた。

自民党本部の議員連盟に 山梨県の長崎知事 ハンコ維持で要望書
(UTYテレビ山梨ニュース、2020.10.08 19:20)

「要望書ではハンコを押す「押印」の省略がハンコそのものの否定と受けとられないよう適確な周知をすることなどを求めています」

こういう報道をみると、つい1年前に会社登記の「印鑑レス化」が先送りとなった時とは随分風向きが変わったことを実感する。2019年には不可能だったことが2020年に可能となりつつあるのは、コロナ禍を経験し、デジタル化の必要性を国民各層が強く感じたことが大きいだろう。

もちろん、いま進められているハンコ廃止とは、「行政機関が法令根拠もなく必要性もないハンコを強制することの廃止」であって、例えば落款印のような芸術性のある印章や、趣味や利便性のために個人が押す雅印やゴム印については、従来と何の変化もない。私も篆刻の真似事をするので、ハンコという文化には愛着があるが、それは行政事務を効率化することとは別問題だと思う。各種申告手続きをする国民と、それを処理する公務員の双方が、無駄な手間を強制されないようになることには大きな意義がある。伝統的文化は文化として、ハンコを愛し、ハンコを楽しむ人が守っていくべきものだと思う。