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規制改革推進会議 第10回 成長戦略ワーキング・グループ

規制改革推進会議 第10回 成長戦略ワーキング・グループ(令和2年5月12日)の議事録が公開されました。Zoomで開催した会議です。私は、このWGのメンバーではないのですが、規制改革推進会議の委員は各WGに参加してよいことになっていますし、今回は民間から要望の強い押印の見直しについて、民間の電子契約業者、法務、総務、経産の3省からの説明があるとのことでしたので、議論に参加させていただきました。

いつもは、自分の発言部分をブログにコピペするのですが、今回の議事録で自分の名前を検索すると、29回も出てくるので、全部のコピペはあきらめて、ハイライトシーンのみ、コピペしておきます。なお、今回の議事録について、私は後から手を入れていません。ちょっと用語が揺れていたりしますが、オンライン会議で交わされた議論がそのまま掲載されています。

【ハイライト1】クラウドサインを巡る民間業者とのやり取り

○岩下委員 岩下ですが、私が質問したのは、今クラウドサインさんがお使いになっていらっしゃる電子署名をつけてとおっしゃったのは、例えばRSAやECDSAといった形のいわゆるデジタルシグネチャーなのでしょうか。その場合の秘密鍵の管理は誰がどうやっているのですか。

○弁護士ドットコム株式会社(橘取締役) 私たちは、技術的基準を満たした電子署名会社様から仕入れて、ユーザーに対して打っているような形になります。ですので、我々でいくと今、デジサート社が買収したシマンテックという電子署名会社(証明書プロバイダ)から電子証明書を仕入れて、お客様が同意した瞬間に電子署名を付すというような形式になっております。

○岩下委員 多分シマンテックは電子署名会社ではないです。それはそれとして、シマンテックの技術を使って何がしかの電子認証を行っているけれども、詳細についてはシマンテックの責任であるという御説明でよろしいですか。

○弁護士ドットコム株式会社(橘取締役) はい。この仕入選定基準は私たちの責任なのですけれども、電子署名という技術自体はシマンテックのものに依拠しております。

○岩下委員 あまり拘泥しませんが、電子署名という言葉が該当するのかどうかということがここでは問題だと思います。

【ハイライト2】リモート署名についての法務省への質問

○岩下委員 今日話題になっているリモート署名、クラウドサインの署名のやり方と、通常の電子署名法上定められた認定事業者等による仕組みの違いというのは、実際に本人によって署名をしているとみなすことができるのかと。そこの解釈なのではないかと私は理解しているのですけれども、その場合に、果たして、署名用の秘密鍵はよそにあります、ただ、その署名をつくってくれたものが自分のIDとパスワードと生体認証によって認証されたものとして出てきますという、そこの部分が切り離されて、離れたところにあっても、電子署名法上の署名であるという解釈にするかどうかという意味ですね。だから、クラウドサインの人たちは、今の電子署名法だとそうはならないということで、電子署名法上の適用を受ける必要があるのだというようなことをおっしゃっているようなのですけれども、そこは今の電子署名法上の要件を満たしていないものだという理解が正しいのですか。それとも、それはそれで満たしていると考えてよろしいのでしょうか。そこについての回答をイエスかノーでお願いします。

○大橋座長 今、多分推定効は働かないという可能性だと思いますけれども、法務省さん、イエスノーで答えてくれということで。

○法務省(篠原課長) 法務省の篠原です。音声が途切れ途切れでございまして、趣旨をつかみかねておるところでございます。

【ハイライト3】登記所等での電子契約書類の扱いを巡って

○岩下委員 岩下です。
私から申し上げたいのは、先ほどどなたか業者さんのプレゼンテーションに、様々な法人の手続などで何か新しく有価証券を発行しますみたいなことを登記所に持っていったところ、それでは受け付けられないと言われたという指摘がありました。となると、民民の間でクラウドサインなり、NINJA SIGNなり、GMOサインなりが今普及していますけれども、それがどんなに普及しても結局認められない。もう一回判子を押して持ってこいということになるわけで、それでは意味がないと思うのです。
その意味を持たせるためにはどうすればいいかというと、クラウドサイン、NINJA SIGN、GMOサインを全国の全ての登記をする人たちが使えるようにすることが必要なのではないかと考えます。
民間に判子をやめてよいと言えるからには、役所側が少なくとも真正であるかどうかということの確認ができないといけないです。紙に打ち出したものをただ持ってこられても、確認はできません。それを使うためのサイトにきちんとログインして、本当にそれが真正なものかどうかを確認しなければ使えないはずです。それはそんなに難しいことではありません。なので、是非今回民間に勝手にやれ、ガイドラインはこれだと示すだけではなくて、そういう書類を持ち込まれる役所側もそれらの真正性がちゃんと確認できるように対応しておくことが必要であるということを申し上げたいと思います。是非3省さんにその旨合意していただいて、早急にその対応を取っていただきたいとお願いいたします。
以上です。

【ハイライト4】リモート署名の解釈について、「3省間でそういったものについて今後検討していく必要があるだろう」との経産省の説明に対して

○岩下委員 何度もすみません。
今の御説明は分かったのですけれども、では民間で判子をなしにしようという最初に戻って、コロナ対策のために判子を押さなくていいようにしようじゃないかという話の解にならないですよね。それは解にするようなものを見つけなくてはいけないのではないですか。これは緊急措置なのでしょう。緊急に対応できなくてこれから検討していきますって、それは解ではないと思うのですけれども、解を出さないつもりなのですか。
以上です。

そもそも、民間の電子契約サービスをどう使うかは民間企業同士がどんなレベルのセキュリティなら納得できるかという話で、役所が解釈やガイドラインを出すような話ではないと思います。とはいえ、実際に取締役会議事録とかに電子署名を付与しても、ハンコがないと登記所で受け付けられないという実態があるようです。この手の、B2B2G的な文書の場合、最後のGがどんな要件を求めるかが、その前のB2Bのところも規定することになります。領収書という民民で交わす書類をどう電子保存すべきかについて、国税庁がルールを作っているのはその一例です。

だから、「民民で自由に電子契約化していいよ」と言うためには、それを政府機関がどう扱うかが明確化されていないとやりにくいと思います。こうした点については、緊急措置として迅速な判断が必要とされていると思います。