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コインチェック事件は全く解決していない

こんなニュースが流れていた。

仮想通貨NEM流出 大阪市の会社役員を再逮捕 10億円相当取得の疑い 警視庁、毎日新聞2020年4月14日 11時52分(最終更新 4月14日 12時00分)

コインチェックのNEM盗難事件で盗まれた480億円相当のNEMは、ダークウェブで15%ディスカウントで販売され、世界中からそれを購入する人が集まって、僅か数週間でロンダリングされてしまいました。購入者は盗品と知って、15%の利ザヤを儲けようとして、ダークウェブに群がったのですが、その一部の人々が今回、再逮捕されたようです。どういう罪に問えるのかなと思ったのですが、組織犯罪処罰法違反を使ったのですね。社会正義の観点から、儲けた分くらいは罰金とか課さないとまずいだろうと思います。マネロンと知って協力するのは罪深いですから。

時々、「コインチェック事件の犯人の一部が逮捕された」と誤解している人がいますが、今回逮捕された人は、犯人の一味でもなんでもないのです。いわば盗品の故買をした人なのです。それで10億円儲けたとのことですが、こうした購入側は、多分、罪の意識が薄く、儲かりそうな取引だから資金を投じたのでしょう。技術的にもたいした水準ではなく、取引履歴から行為が警察に知られることになったのだと思います。

他方、NEMを盗んだ犯人はというと、Satoshi Nakamoto が推奨していたように、取引一件毎に鍵ペアを生成してアドレスを変更したようです。そもそも、ビットコインのアドレス空間は広大ですし、使用されているアドレスの殆どは使い捨てられて空っぽです。だから、ブロックチェーンの情報をたどってNEMの犯人に到達するのは難しいのです。

それに比べて、故買で儲けた人は素人ですから、アドレスを頻繁に変えるなんてやってないでしょう。突き止めるのは技術的には難しくないですし、国内取引なら交換業者経由で情報もアクセスできます。ただし、「普通に取引しただけ」と言い逃れられるのをどう防ぐかが問題ですね。裁判がどうなるか、予断を許さないでしょう。

コインチェック事件でNEMを盗み、それをダークウェブで販売した側は、どこの誰かもまだわからない状態です。その意味では、コインチェック事件は全く解決していないと考えるべきだと思います。