今日の日経朝刊の一面トップはこの記事でした。
中国スマホ銀、農村席巻 アリババVSテンセント AI審査1秒、融資1億人
日本では、農協が昔ながらの農業金融をほぼ独占している状態で、フィンテックの対象とは考えられていないのですが、この中国の事例は、信用力を判断する基盤があれば、農業でも金融ビジネスの対象となる好例といえるでしょう。もちろん、金融は怖いビジネスで、一歩間違うと過剰債務と返済不能が連鎖します。例えば、スタインペックの「怒りの葡萄」(The Grapes of Wrath)では、1930年代の米国で、「銀行に土地を奪われた」と嘆く農民が大量に発生した悲劇を描いています。現代の日本では、そういうことが起きないようにガチガチの規制で縛っているので、実質的に、農業分野が金融ビジネスの対象とは見なされないのですが、それが日本の農業のためになっているか疑問だと思います。
かつて私が日銀の金融高度化センターに在籍していた時に、アグリファイナンスに関するセミナーを開催したことがあります。地域金融機関が地域の農業をサポートした事例は結構ありますし、融資対象としての農業法人も増えてきました。農地が担保価値がないことが伝統的な銀行融資に乗らない大きな理由なんですが、そもそも担保に頼らない金融であれば伸び得る訳ですから、金融機関側もタブーと思わないでチャレンジして欲しいですね。農業は、地方創生の重要な武器ですから。