ビットコインがまた急騰しているようですね。ここ一か月の相場をみると、6月上旬に9000ドルにトライしたものの、8000ドルに押し戻されていましたが、ここにきて9000ドルを軽く超え、10000ドルをうかがう動きとなっています。
とはいえ、まだマスコミもそんなに騒いでいません。海外の論調も最近の上昇の理由を明示しているものはあまりありませんね。その代わり、「クジラ」すなわち大口の投資家の存在を指摘する声は多く聞かれます。
前回、2017年に10000ドルを付けたら一気に20000ドルまで3週間ほどで到達したわけですが、その時も、Tetherを使った相場操縦の噂は絶えませんでした。Griffin&Shamsの論文は、2017年当時の取引内容をTetherのブロックチェーンから解析し、Tetherの発行がsupply-drivenであること、すなわち、Tetherを増発してBitfinexがBitcoinを購入し、相場をつり上げていることを指摘していました。
そしても今回も、相場上昇と並行してTetherの増発がみられています。加えて、事実上のTetherの発行者であるBitfinex社は10億ドルのICOを実施して、Tetherの枠組みを強化しようとしています。 今回も、supply-driven なTether発行による相場のつり上げが強く疑われます。規制がないので、それ自体は違法という訳ではないですが、誰もが安心して参加できる市場とは思えません。
最近の相場上昇局面では、Bitcoinの取引金額とTetherの取引金額は、ほぼびったり一致して推移しています。これもまた、相場のつり上げを図っている状況証拠でしょう。
どうも、4月25日の米国NY州司法長官による告発(Tetherが預かった資産を損失の穴埋めに使っているのではないかという疑い)以降、TetherおよびBitfinexはその手口を隠そうともしないで、Bitcoinの価格つり上げに邁進しているようにみえます。相場が上がっている限り損失は出ないので、NY州司法長官の告発も空振りといったところですが、この手口を永遠に続けていくことは難しいと思います。
よくある「ギャンブル必勝法」、倍々に賭ける金額を増やしていって、勝ったところで止めれば必勝だ、というのを思い出します。それが可能になるためには、負けが込んでも破産しない十分な資金が必要なのですが、Tetherというドル紙幣印刷機を手に入れたBitfinexは、この手口をベタにやってきている感じです。
前記の必勝法には、もう一つ条件があって、勝負を止めたいところで止められることが必要です。しかし、こういう展開になると、勝負を止めるのは難しそうですね。