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暗号資産の流通総額とコイン別シェアの動き

足元の暗号資産の流通総額(market capitalization)が $140 B を上回るようになってきた。2月に一瞬高騰してすぐに下落した時と比べると、今回の上昇は割と継続している。このままで進めば、年初来の高値を更新する勢いである。とはいえ、昨年の最高値 $ 830 Bと比べれば、約1/6に過ぎないのだが。

https://coinmarketcap.com/charts/  (2019-01-01以降)

興味深いのは、コイン別の内訳だ。特に私がいつも注目している BTC dominance は、50%近くにまで低下している。BTCの相場は4000ドル程度に戻してから目立った伸びはないから、BTC以外のコインが値上りしていることを意味しているが、コイン別のシェアの推移をみても、特に目立って上がっている主要コインはなく、BTCのシェアを奪っているのは「その他」に分類されるコイン群なのだ。

https://coinmarketcap.com/charts/ (2017-01-01以降)

この「その他」というのは、ステーブルコインのTetherや各種ICOトークンなどを含む雑多な括りだから、いったい何が最近の値上りの主役なのか、すぐにはわからない。実際、流通総額上位のコインのこの1週間の値動きを、下図の右のグラフで見ても、これといって値上がりしているものは見当たらない。BTCだけでなく、ETHやXRPも足元では弱含みである。

https://coinmarketcap.com/  (流通総額でソート)

そこで、この表を24時間の値上り率でソートし、上位のコインを見てみよう。右側のグラフを見ると、右肩上りの景気のいいコインが並んでいる。とはいえ、流通総額で下位のコインが多少値上りしても、全体に与える影響は限定的だから、流通総額と値上り率の両方を考慮する必要がある。この表にある中で最近1週間の寄与が大きそうなのは、10位のCardano、29位のOmiseGo、6位のBCH 辺りだろうか。この表の圏外だが、17位のOntology、20位のTezos、16位のMakerも、ここ一週間の値上りに寄与している。

https://coinmarketcap.com/  (24時間値上り率でソート)

こうやって細かく見てみても、際立った傾向は見いだせない。何かの特殊要因というわけではなく、アルトコインの中でもマイナーなものが少しずつ値上りして全体の流通総額が上昇し、BTC dominance を下げているという構図である。さて、こうした傾向は今後どの程度の期間、継続するだろうか。