GPUのNVIDIAの話を書いたら、ASICのBitmain社の話も書かないとダメですよね。昨年末からの「The Fall of Bitmain」報道は、ニュースソースも含めてやや慎重に評価する必要がある話だと思っていましたが、さすがに後追い的な統計も出始めましたから、Bitmain社の米国や欧州での活動縮小やレイオフなどの情報は事実なのでしょう。1月にはCEO退任報道もありました。
マイニングビジネスが儲からなくなっていることと、マイニング装置やASICが売れなくなっていることは、ダブルパンチで効くので、同社が不調になるのは当然といえば当然だったのですが、過去の蓄積との比較でどうか、というところでした。GMOやDMMは他業から参入した後発でしたからあっさり損切りした訳ですが、マイニングビジネスの本家本元となると、なかなかそうはいかなかったのでしょう。
とはいえ、既に昨年の後半から、Bitmainのマイニングパワー(hashrate)は大きく低下しておりViaBTCを含めた数字では、そのシェアは、ピーク時の53%から35%にまで低下していると報じられています。
Bitmainが香港市場でIPOを表明したのは2018年6月でした。当時は強気と弱気が交錯していたので、10億ドルの資金調達をして、一気に勝負をかける気でいたのでしょう。でも、伝統的な証券市場はそうそうすぐには動かなかったので、結局、資金調達が実現する前に、2018年11月の暗号資産相場の下落を迎え、資金調達は実行されないままとなりました。
それにしても、Bitmainのシェアが下がる中で、シェアを上げていたのはいったい誰なのでしょうか。hashrateの統計とこのシェアの統計を並べてみていると、Bitmain以外のマイナーはマイニング能力を維持していたように見えるのですが、それも不思議です。blockchain.comのマイニングプールのパイチャートを見ると、unknownが最大シェアとなってますが、以前はそんなことはなかったような、、、。
ということで、「The Fall of Bitmain」報道の時からchaos状態と報じられてはいましたが、統計も含めて実態がよくわからなくなっているのが最近の暗号資産市場だと思います。そもそも、日本の金融庁が日本の交換業者から集めて集計したデータを除けば、およそ世界中で、公的当局が関与している暗号資産統計は皆無です。相場好調時は業者間で正確な報道を競っていたとしても、相場が不調になると、そもそもの基盤の弱さが露呈してしまうのではないでしょうか。
最近の国会論戦では国の統計は評判がよろしくありませんが、別に民間に任せれば良いということでもありません。暗号資産はともかくとして、本当に大切な統計は、公的機関がしっかり責任をもって作成することが大切だと思います。