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世界銀行、豪州での債券発行にブロックチェーンを利用

金融業界でブロックチェーンを利用するプロジェクトへの熱気は、最近やや冷めかけていました。そんな中でのこのニュースは、ブロックチェーン技術に注目する立場からは、久々に明るいものです。まだ最初の一歩を踏み出しただけですから、慎重に見極めていく必要がありますが。

元々、国際的な証券取引は、事務ミスにより決済不能となる事故が多く発生します。国内での証券取引とは異なり、関係する当事者が多く、照合すべき情報も多いため、ミスが発生する確率がどうしても高くなってしまうのです。こうした問題に、ブロックチェーン技術が有効だというアイデアは、以前から共有されていました。現在の硬直化したSWIFTに代わって、インターネット上に参加者を国際的な金融証券取引の仲介業者のみからなるインフラを構築し、そこで情報を交換すればいいではないか、という考え方です。

金融機関間の資金決済や証券決済、あるいは証券発行市場の取引は、金額がとても大きいので、各国において免許・登録を受けた業者が、各国の法的な枠組みの中で、安全確実な方法で実行されてきました。しかし、国際的な金融・証券取引はある意味例外で、異なる法管轄にまたがるため、木に竹を継いだようなものにならざるを得ません。古めかしい慣行に支配され、枠組みの改善が進まなかったのも、こうした特殊な事情によるものでした。

ブロックチェーン技術が、まるで魔法の杖のようにこうした問題を解決するか、というと、そうではありません。ビットコインとICOトークンで処理すれば万国共通だ、という訳にはいかないのです。しかし、仮想通貨の大流行のおかけで、技術に対する理解は進みました。新しい技術の受容という意味では、白地に絵が描けるようになってきたのです。

当面は、豪州の国内の金融機関と世銀だけが関与するこの仕組みを、多くの国の金融機関が先例として学ぶことになるでしょう。あるいは、異なる取り組みに手を挙げる別のプレイヤーが登場するかもしれません。国内の証券決済や資金決済のように、しっかりした法的な枠組みがあるものは、白地に絵を描く改革をするまでもないのですが、国際的な金融取引については、例えば貿易金融や小規模送金など、改善の余地のある業務が沢山あります。それらが大きく改善されるきっかけになることを期待しています。

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