私は京都では四条河原町の近くに住んでいるのだが、近所に「トレカ専門店」なるものができたのでちょっとのぞいてみた。写真に写っているショーケースに諸々のトレーディングカードが陳列されているのだけれど、その値札をみるとびっくりする。例えば、ポケモンカードゲームのミューツーのレアなカードには、100万円を超える値札がついていた。私のようにトレカに興味がない人間からすると、「多分原価数十円だろうに、何故この値段?」と感じてしまうのだが、実際に100万円前後で売買が成立しているらしい。カードゲームで使用すると特別な技が出せたりするのだろうが、そのために100万円を払うプレーヤーは多分いないだろう。「持っていれば更に高くなり、売れば儲かる」と考える人がいるから相場が立つのだ。そのようにして生まれた市場価値を合計すれば、相当な巨大産業といえるのだろうが、本当にそう考えていいものか、ちょっと悩む。
このトレカはNFTにかなり近いし、その先には暗号資産がある。マウントゴックス事件で有名な初期の暗号資産交換所Mt.Goxが「Magic: The Gathering Online eXchange」というトレカの交換所から生まれたことを思い出せば、両者の距離が近いのも納得できる。
トレカは「版元が希少性を維持して発行枚数を管理している」という信頼に基づく仕組みのように思える。店舗内には版元の業者の旗が掲げられていたから、流通市場でも版元がしっかり存在感を示しているようだ。NFTでも似たような話を聞くけれど、投資家は誰をどう信用しているのか、よく分からない。暗号資産は銘柄によって状況が異なるので一言では言えないけれど、トレカと比較してみるのも面白いかもしれない。トレカと暗号資産の両方に投資している人がいたら、その辺の考え方を聞いてみたいものだ。