ブログ

Blog

陽性率を正確に把握する意味

こんなニュースが流れていた。

PCR検査の「陽性率」正確な把握へ集計方法など検討 厚労省
(NHK NEWS、2020年5月6日 18時50分)

これはちょっと前にブログで問題提起した問題だ(2020.04.28「東京都のコロナ陽性率は本当に高いのか」 )。

この統計の問題が改善されるのであれば、とてもよかったと思う。陽性率は、PCR検査が不十分といわれる我が国にとって、大事な指標となりうる。我が国は感染者数が高々1万人、つまり、国民1万人に1人の割でしか存在しないことになっている。しかし、もし陽性率が20%とか30%とかになっていれば、PCR検査から溢れ出ている感染者の存在を疑わなければならず、感染者数が信頼できないという議論になる。

だから、医師が適度にスクリーニングしたうえでPCR検査を実施しても、陽性率が高々数%にとどまるならば、検査すべき対象がほぼ検査できていると期待することができる。弱い証拠でしかないが、陽性率が低ければ、PCRの対象者を絞り過ぎておらず、公表された感染者数がほぼ信頼できることの証拠と考えられる。CT検査能力や国民皆保険による充実した医療体制と併せて考えれば、十分に説得的だと思う。

ただし、単に陽性率が低ければ感染が収まっているかというと、そう読み取ることには注意が必要だ。例えば、最近カリフォルニアで試行されているように、希望者全員にPCR検査を受けさせるようにすれば、たちどころに陽性率は下がるだろうが、だからといって国内における感染率が下がる訳ではない。あくまでも、従来と同じようなスクリーニング体制を維持していることを前提に、陽性率の上昇を、警戒のサインと認識して利用していくべきものだと思う。