日経新聞「経済教室」では、10月10日から3回連続のリブラ特集が組まれています。その上中下の「中」として、拙稿を掲載していただきました。
特集の「上」では、UCバークレーのアイケングリーン教授が経済史的観点から「リブラの価格安定性に致命的欠陥がある」と指摘しました。過去の金融危機の事例を考えれば、国家の信用に頼らない人工的な「通貨」にはリスクが大きいという主張は説得的なものでしょう。
経済教室 デジタル通貨が揺らす金融(上)
リブラ、安定性に致命的欠陥
バリー・アイケングリーン カリフォルニア大学バークレー校教授
特集の「中」に掲載された拙稿は、 (1)その理念として、途上国の人々の金融アクセス向上を狙った点については評価しつつ、(2)その実現方法について、ビットコインなどの経験から、リブラも相場が乱高下しやすいため、通貨として機能しない可能性があること、(3)価値を保証するリザーブを持つパーミッションド型ブロックチェーンであるリブラは、パーミッションレス型で非中央集権を標榜するビットコインに比べて、政治体制の異なる国の人々から共感を得られにくいのではないか、と主張しました。
経済教室 デジタル通貨が揺らす金融(中)
リブラ、本格通貨に成り得ず
岩下直行・京都大学教授
このように、「上」と「中」はリブラの将来について悲観的な寄稿でしたが、「下」の筆者が誰で、どういう論調となるのか、今から楽しみです。