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PayPalがLibraからの脱退を表明

フィンテック企業の老舗であるPayPalが、Libraプロジェクトからの脱退を表明したというニュースが流れていました。

米ペイパルが脱退 仮想通貨リブラから、初めて フェイスブックに逆風(産経新聞、2019年10月5日)


Libraのホワイトペーパーには、28社の創業メンバーを地域的、業種的に分散して選定したと書かれています。この28社は、海外紙の報道では、”Libra backers”と呼ばれています。当初から、この中には銀行が一社も含まれてないことが指摘されていました。Libraに対する米国議会の公聴会で多くの懸念が表明された7月頃から、銀行業界と関連の深いLibra backers の一角であるVisa, MasterCard が、Libra から距離を置いていることが報じられ、その他にも参加を再考している企業がいると噂されていました。その意味で、今回のPayPal の脱退表明ついては、特に意外感はありませんでした。

Libra backersの中でも、本業においてLibraが競争相手になる企業は、元々微妙な立ち位置にありました。私は、AML/CFTなどの規制上の問題から、Libraはそう簡単には実現しないと考えていますが、もしそういう認識が共有されれば、資金決済に関わる企業がLibra backersの地位に居続ける合理性はないと思います。

規制側がLibraに慎重な見解を示す前までは、Libra関係者は、「現在銀行が行っているKYC(本人確認)という悪弊はもはや不要だ」といった主張をしていたといいます。その話を聞いた段階で、どうせこの人たちは本気でマネーロンダリング対策なんてやる気はないんだろうと思ったものです。後からどう言いつくろおうと、そういう認識で始めたプロジェクトであることは覆い隠せないと思います。