米国Bitwise社がSECに報告したビットコイン市場の取引金額統計の問題については、日経新聞にも大きく取り上げられましたね。なかなか厳しいトーンの記事でした。
ビットコイン売買「95%偽装」米社がSECに報告(日経新聞、2019/4/4)
この件について、暗号資産業界の業界紙であるDiarにも記事がありました。
A recent report by asset management firm Bitwise has dropped ice water on the reported trading volumes of cryptocurrency exchanges. While long has this been known, its official delivery to the US Securities and Exchange Commission (SEC) marked an important turning point in the perception of how liquid markets really are.
冷水を浴びせた(dropped ice water)という表現は使ってますが、そんなに深刻な感じではありません。というのは、直後にあるように、そんなこと前から知られていた(While long has this been known)からです。
実際、この報道があった4月3日は、ビットコインの価格が1日で15%も高騰した直後です。冷水を浴びせられたにもかかわらず、その後も暗号資産の相場が堅調なのは、少なくとも市場関係者にとってはサプライズではなかったということですね。まあ、取引金額の不正申告は、2016年の中国4大取引所の過大申告競争など、過去にも色々ありました。公的当局による規制に基づく統計ではなくて、民間の事業者が性善説で集計しているものですから、虚偽申告があったとしても罪には問えないわけで、まあ、そんなもんだと関係者は達観しているのでしょう。取引金額は参考情報であり、大事なのは価格だ、ということかもしれません。不正な価格を提示したら、取引で損をしてしまいますから、価格をごまかすことは難しいのです。
むしろ、このDiarの記事は、CME、CBOEの先物取引のような機関投資家向けの取引が足元で復調しつつあることを報じています。とはいえ、これだけ虚実の入り混じる暗号資産の取引には、まっとうな金融機関はさすがに手が出しにくいでしょうけどね。