日本経済新聞の企画、スタートアップ@NIKKEIのフィンテックの選考委員を務めました。お金のデザイン、Kyash、ペイミー、justInCase、Tranzax、シナモン、カリウス、Origami、インフキュリオンデジタル、TORANOTECが入選となり、各社の紹介が紙面に掲載されています。
私は選考委員として《選評》を書きました。有償サイトのため、私の書いた選評のみ、以下に転載します。
《選評》 選考委員 岩下直行・京都大学大学院教授 「生活に広がる余地大きく、課題は導入コスト」 日本でもフィンテックが注目を集めて5年ほどたつ。今回の応募企業は、感度が高い層だけでなく、送金やQRコード決済など人々の暮らしに広がる余地の大きいサービスが目立った。世界的にもキャッシュレスの動きは止まらない。日本でもようやく山が動いたという感じだが、消費者の利便性とともに実店舗が低コストで導入できるかが課題だ。 選考で上位に入ったスタートアップはどれも社会ニーズの変化に敏感で、いち早く応えようとしている。利用者目線に立ったデザインや使いやすさも強みだ。若者は対面よりもスマホ上のやり取りを近しく感じる。「ロボアド」といった新たな資産運用は空いた時間にすぐ取引でき、使いたいと思わせる魅力を持つ。 フィンテックを巡っては、従来の金融機関はレガシーシステムにとらわれ、迅速かつ洗練された答えを持っていないことが多い。銀行は今後も必要だが、未来をつくるには別の力が求められる。起業家は技術やサービスを四六時中考えている。当然、セキュリティーは大事だが、大企業が生き残るにはスタートアップとの協業は避けられない。 日本では投資家がスタートアップに出資する前から実績を求めてしまいがちだ。こうした課題を乗り越え、将来の社会基盤を築いたり、業界地図を書き換えたりしてしまうような志の高い企業が続くことを期待している。 |